西村真紀先生のような、一人一人をしっかり診て、患者立場に立った家庭医がいると安心して、お医者さんにも安心して行かれるのですが。

≪ 考えよう ポリファーマシー(多剤処方)と薬の効果 》
     川崎医療生協・あさお診療所長 西村真紀医師

多くの薬が処方され問題になっているポリファーマシー(多剤処方)。あさお診療所所長の
西村真紀医師が説明します。
皆さんは、「自分の飲んでいる薬が多いんじゃないか」と考えたことがありませんか。治療上必要なために薬は処方されますが、高齢者になって病気の数が増えると、それだけ薬が増えてしまいます。
日本のある病院の調査では65歳以上の患者さんの40%が5剤以上、10%が10剤以上の薬を処方されていました。
薬の副作用が出やすい高齢者ほどたくさんの薬を飲んでいます。

多剤処方で、効き過ぎや副作用が増大

さて、ポリファーマシー(多剤処方)はどんな問題を引き起こすのでしょうか?
作用が重なり効き過ぎたり、副作用が増大します。治療費が増えます。薬が多くてきちんと飲めない人が増えます。
睡眠薬などふらつきをおこす薬剤で転倒・骨折が増えます。また入院や死亡が増えることもわかっています。

ポリファーマシーの犯人は…

ポリファーマシーの犯人は医師ですが、原因はいろいろと考えられます。患者さんが薬を欲しがることも確かに多く、忙しい外来では症状に対して短絡的に薬を処方してしまいがちです。
話をよく聞き、本当に薬で治すべきなのかを、医師・患者ともによく話し合う必要があります。また多くの医療機関にかかってしまうと薬が増えます。
副作用に対して、新たに薬が処方されることもあります。
 特に気をつけなくてはならないことは、患者さん本人が副作用を疑っていないと、別の科や病院にかかって症状を訴え、その科の医師も副作用に気づかず新たに薬を処方してしまうことです。 

ポリファーマシーを減らすには

ポリファーマシーを減らすためにはどんな工夫が考えられるでしょうか。まず、よく言われているのは、「お薬手帳」の活用と、かかりつけ薬局を持つことです。
薬剤師は薬のプロです。副作用や相互作用をチェックして医師に伝えてくれます。そのため医師どうしや、医師と薬剤師の連携が大切なのは言うまでもありません。
私たち家庭医は、他病院の医師になぜその薬が出されているのかの確認をしたり、時には薬の処方や変更は家庭医に任せていただけないかと病院の医師に手紙を書き、病院受診時には現在の処方と症状などの報告書を書いています。
患者さんにも役目があります。薬に頼らず非薬物療法はないのかを医師と相談することも大事です。
また現在の症状、そして治った症状もきちんと医師に伝え、処方薬を医師と毎回検討するようにして、漫然と同じ薬が処方されるのを防ぎます。
根本的にはできるだけ診療を受ける医師の数を減らしていく事です。
そのためにはかかりつけ医(家庭医)を持つと便利です。
サプリメントや市販薬についても医師や薬剤師に相談して、不要なものは減らしていきましょう。  

患者さんと一緒に効果や副作用をじっくり検証

最後にもうひとつ大事な話をします。私の外来に「薬を減らしてほしい」と言って受診される方がいます。薬は原則として必要だから処方されています。勝手にやめるのは大変危険です。必ず医師と相談してください。
私は、ポリファーマシーの患者さんと一緒に薬の効果や副作用をじっくり検討しながら、薬をゆっくり、少しずつ減らしていっています。
      「川崎医療生協 2015年11月号」より