サラリーマンは下痢止めを手放せない

私も研究室まで電車通勤をしていますが、通勤ラッシュとは大変なものです。
あの寿司詰め状態は、人体にとって相当なストレスです。
みなさんは「毎日のことだから慣れている」と思っているかもしれませんが、心身にとっては生命の危機を本能的に覚える、まさに異常事態を毎日体験していることになります。

そんなサラリーマンの方々に今、もう一つの異常事態が襲いかかっています。
通勤途中に下痢になる人が増えているのです。
会議の前になると、決まって下痢をする人もいます。
下痢は、通勤途申や会議前など、同じシチュエーションのときに繰り返し発生します。

このように、ストレスを感じると、下痢や便秘などの便通異常を慢性的に繰り返す病気を「過敏性腸症候症群」と呼びます。
男牲には下痢症が多く、女性は便秘症が多くなります。
今、5人から10人に1人が過敏性腸症候群に悩まされていると推定されています。

ほぼ毎日のように下痢や便秘を繰り返すので、腸に何かよくない病気でもあるのではないかと、密かに心配されている人も多いてしょう。
しかし、問題は腸にはありません。 問題は、脳にあるのです。

ストレスにさらされると、頭のほぼ中央に位置する視床下部という脳の一都から、ストレスホルモンが分泌されます。
ストレスに刺激された脳が異常事態を感知して、異常な信号としてこのホルモンを発します。
腸の粘膜には神経個胞が精密機械のように張りめくらされており、以上シグナルであるストレスホルモンを浴びると、過敏に反応します。

これか腸の蠕動運動を狂わせる原因となり、強い痛みや下痢、便秘を生じさせるのです。
蠕動運動とは、腸の内容物を移動させるための収縮運動です。
腸の大事な働きの一つですが、ストレスホルモンによって過敏になれば下痢を起こし、停滞すれば便秘になります。
脳がストレス性の下痢の恐怖に襲われると、もう大変です。
同じストレス状態に置かれると、「また下痢になるかもしれない」という不安がさらに大きなストレスとなって、再び下痢を起こさせるという悪循環に陥ります。