長生き! 何を食べてきて?    加藤シヅエ 1897~2001 104歳
  
 
加藤シヅエは日本を代表する女性解放運動家、政治家である。
明治時代に生まれ、大正、昭和、平成と生き、2001年、満104歳で亡くなった長寿者だ。
戦時中から一貫して女性の権利を守り、地位向上に大きく寄与した。

『百歳の幸福論』という本の写真の中で新聞に目を通す加藤シヅエの後ろの壁には、夫が残した「学為不老」(学んで老いず)という書が見える。
その言葉の通り、加藤シヅエの健康の秘訣は老いて衰えない好奇心にあった。毎日、新聞に目を通し、ラジオも好きだった。

同じ本に記録されている食事は例えば以下の通りである。
朝食には、バターとジャムをたっぷり塗ったトースト、チーズ、カフェオレ、牛乳、栄養ドリンク。
ある日の昼ご飯は、ハムと野菜のサンドイッチ(カツサンドも好きとあり)にミルクティー。
夕食はエビ、サケの揚げ物、タルタルソース、カボチャのスープ、ご飯にごま塩、鶏レバーしょうが煮、たくあんの漬け物……別の日にはサーロインステーキとある。

一見すると油脂分とタンパク質の多い欧風化された献立だ。
貿易商で海外滞在の多かった父親を持ち、西洋的な家庭環境で育った影響を見ることができる。

今は粗食がよいと喧伝されることが多いけれど、彼女の食卓は豊かだ。
また、特に牛乳を飲む習慣を大事にしていて、別の本には「一日三合の牛乳を飲むこと」をモットーにしている、とある。
牛乳は体に悪いと近頃聞くけれども本当だろうか? 
これはあらゆる意味で真実ではない。
東京都老人総合研究所の疫学調査によると、毎日牛乳を飲んでいる老人はそうでない場合に比べて長生きするという結果だった。
また秋田県の調査によると血清総コレステロール値が上昇し、抑うつ傾向の予防が期待できるという。
牛乳などの高栄養の食事も加藤シヅエの前向きな好奇心の源泉かもしれない。
もちろん運動や外に出ることも健康には重要である。

高齢者にとって望ましい食生活は粗食ではないことに注意したい。
むしろ低栄養状態に気を付けるべきだ、と厚生労働省はマニュアルを作って改善を進めている。
日本人の寿命が戦後から延び続けていることに食の多様化による栄養状態の改善が寄与しているのは間違いない。
今は食に関する情報が溢れている時代で、正しい情報と間違った意見の判別が難しい。
加藤シヅエは「正しい人ほど頑固になる」と指摘をしているが、 
 情報をうのみにせず選択する力を身に付けたい。
加藤シヅエは何事も自分で決めてきた人物だった。
長寿に必要なのは強い意志の力なのだ。

       From: 樋口直哉 『しんきん 経営情報 2016.2』

要は、食事はおいしく、楽しく、しっかりと食べることが大切だということです。
 はやりの栄養補給のサプリとか健康食品、怪しげな食品情報などに惑わされず、
好きなもの、自然のものを食べるのが、健康と長寿の秘訣のようです。