前回に続いて、社会問題。
前回は、保育園に預けられず、働きたくても働けない若い家庭の話し。
今回は、原発事故で、故郷の家を追われ、政府からも、東電からも補償されず、
放置されている高齢者の話しです。
「一億総活躍社会」を目指すなんて、よくそんな嘘が言えますなー。 

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震災5年目の仮設住宅  取り残される弱者たち 
 
東日本大震災から五年を迎える福島県。
「復興を急げ」と派手な掛け声が聞こえる一方で、仮設住宅に目を移すと、
「高齢」「独居」の被災者が、孤独死の危険と隣り合わせで暮らす現実がある。
今こそ弱者を忘れない、血の通った復興策が必要だ。

福島市に本部を置く生活協同組合「コープふくしま」のスタヅフが被災者のお年寄りを対象に「サロン」を開くというので、同行させでもらった。
向かったのは、原発事故で全町避難中の浪江町の被災者が身を寄せている福島市の仮設住宅。
集会場に「寿会」の会員が集まっていた。平均年齢八十歳ほどの高齢の女性ばかりで約二十人。
スタッフの指導で、体操やゲームで体をほぐし、一緒に簡単な昼食を作って食べる。
冗談が飛び交い、笑い声が響く。

楽しそうに見えるが、会員の大部分が一人暮らしであると聞いて驚いた。
八十一歳の世話好きの女性は「津波で主人と役場勤めの長男が亡くなった。
孫はいるけど、学校があるから県外にいる。
ここで同じような境遇の人たちと一緒に暮らしているのが一番です」と淡々と話した。

別の女性(80)は大きな家に大家族で暮らしていたが、津波で家を流され、一家散り散りになったとい
う。
「故郷を思ったら涙、涙です。避難指示が解除になったら帰りたいけど、若い人は帰らないだろうし、一人で帰ってどうするの」と目頭を押さえた。

震災から五年がたち、福島、宮城、岩手三県の仮設入居者は約五万九干人。
新しく住宅を購入したり、災害公営住宅に移る人が増え、入居戸数は最大時の半分に減った。
空室率は四割を超え、見た目にも空き家が目立つ。
そうした流れに取り残されるように、「高齢」「独居」の人々が身を寄せ合って暮らしている。

そのせいか、孤独死の数も年々増えている。福島県だけを見ても、昨年の仮設住宅の孤独死は二十二人。
五年前の七倍以上になる。

こうした弱者に対して、国や県の施策は、あまりにもちぐはぐだ。
例えば福島県では、二〇一七年までに避難指示の相当部分を解除し、避難住民の帰還を促す方針を取っている。
一方で災害公営住宅が建設されるのは周辺自治体。
「故郷に作ってくれれば、私でも帰れるのに」と不満が聞こえてくるのは当然の話だ。

「いつのまにか食料雑貨の移動販売車が来なくなった」という声も聞いた。復興の陰で忘れ去られる人々。
彼らの存在にもう一度光を当てる必要があるのではないか。
       『東京新聞』記者の眼 2016.3.8 坂本充孝(福島特別支局)より

  外国人カメラマンが見た福島第一周辺の最新の現状が壮絶。。。