初めて聞きました、タメ息健康法。
眠れないときに数えながらタメ息をする。
やってみたら、ちょっとうまくいったような気がします。
寝つきが悪くて困っている方、試してみてください。


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生きていく工夫  タメ息健康法  

ねむれない……っていうのはツライものらしい。
というのは聞いていましたが、たしかに、実際に体験してみると、とってもイヤだしツライものです。
だから私は、もしねむれないツラサを訴える人があったら、ひたすら同情するし同調すると思います。
しばらくおたがいのツライ体験を話し合うでしょう。

私はもともと、寝つきのいいほうだったし、目が覚めた朝には、夢を見たことも忘れているような、悩みのないタイプでした。
ほとんど病気をしていなかったこともあって、以前、「十中八九、肺がんでしょう」といわれた時は、いきなり自分の「人生」とか「死」とか、今まで考えたことのないようなことを考えざるを得ないようなことになった。

これから寝ようって時に、そんなこと考えたって仕方ないんですが、自分的にはもう「非常時」なんですから、考えないわけにはいかない。
人間は考えすぎてる時には、ねむれないようにできてるんですね。
で、だから考えないようにしよう「しよう」と思うと、さらにねむれなくなります。

考えるっていっても、なんか楽しいような、ねむたくなっちゃうような、いい気持な考えを考えてるんなら、なんとなくねむってしまえそうです。
ねむれなくなるのは、考える一般、ではなくて「不安」とか「心配」とか「恐怖」とか「寝てる場合じゃない」ような時っていうのが、ねむれない原因です。
「ねむらないと体にわるい」と考えるのも、さらにねむれなくなる原因です。

「ねむらないと体にわるい」というのはおそらく本当のことだし、そう思うのは体のほうでも、そのように考えさせるみたいなプログラムになってるかもしれない。
でも、そうだとすると、そのプログラムはまちがいですね、寝る前には、ややこしいことは考えられない、ようにプログラムするほうが正解です。

私は、病気が不安だったときに、自然に「タメ息」をついてるのに気がついたんですが、そうか、このタメ息っていうのを積極的につく、大いにつく、っていうのをしたらどうなるかな?
と考えて、やってみたんです。

すると、なんてことでしょうか?
タメ息は、積極的につくと、なかなかいいんですよ。
なんか「胸がすく」ような気がする。

この発見は、私はとってもタメになる実効のある発見だった。と思っています。
だから、いまでも、なんだかスッキリしないな。なにか胸の中がもやもやするなア、と思った時には、私はタメ息を盛大につくことにしています。

「深呼吸をしなさい」
というアドバイスは、何度か聞いたことがあります。
いわれるように、スグ実行したけれども、あんまり効果がない。

ところが私の気がついた「タメ息」術っていうのは、吐く息にだけものすごく重点をおく方法です。
思いっきり吐く、苦しくなりますから、吸うほうは、意識しなくても自然にしてます。
意識的にするのは吐く息のほう。

これを何度かするうちに、落ち着いた気分になってくるんです。
こういう発見をしていたんですが、それは、不安な時に効く方法だからと考えていた。

最近、夜中に尿意がおこって、二度三度、目が覚めてしまう。
なんかの拍子にそのまま目が冴えてしまって、本を読んでしまったりすると、翌日、寝不足する。
みたいなことを、何度かくりかえすうち、
「あ、そうだ!」
と、タメ息呼吸法を思い出したんです。

息を深く、必要以上に吐く、苦しくなるんで、スッと吸って、13くらい数えながら吐いて、3~5くらいで吸い、また13くらい吐いてと、していると、いつの間にか寝てしまう。
数を数えていると、余計なこと、たとえば「このまま目が冴えるとコマるなあ」とか考えてるひまがない、っていうことらしいです。

寝つきでコマってる人、ちょっとためしてみたらどうでしょう。
「タメ息をつくたびに幸せが逃げていく」なんていう格言もありますが、私の考えは「タメ息をポジティブにつく」。
タメ息健康法といってもいいですね。
    『きょうの健康』2015.11  南伸坊 より
 
     10歳の少女の「タメ息」を聴いて、お休みなさい   
    Liszt / Un sospiro (リスト/ため息)10years old